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winny 



昨日書こうと思いながら、デジクリチャットに手を取られて書けなかった。ファイル交換ソフトwinnyの作者が逮捕された。京都府警、やるじゃん。
朝日新聞の記事によると、ご本人「著作権など従来の権利の概念が崩れ始めている(中略)それを後押ししてもいい」ようなことをおっしゃってたみたいで、最初は「文化的社会主義革命家」か?と思った。文化的社会主義はあり得るかな、とは思ったけど、それは「全ての人が文化的生産を義務づけられ、生産された利益は共有する」ということで、現在のような、権利者が違法者に一方的に搾取されている状態では決してない。それどころか、作者氏、ご自分専用のwinnyは自分のファイルは一切取られないようにして、人様のファイルは配布ソフトの10倍取れるようにしていたとか。これでは同情の余地もない。
また、今回の逮捕について、技術を開発しただけで逮捕できるのは問題ではないか、との意見も新聞に見受けられたが、本人がどのように使われているのか状況を知りながら、配布を続けたのであれば、これは許せないこと。ノーベル博士や芹沢博士から、氏はなにも学ばなかったのか。密室での研究のためなら、なにをしてもいいのかもしれないが、それを配布するのであれば当然、その社会的責任を負うべきである。
音楽ソフトなどはメーカーがコピープロテクトすればいい、という話も新聞にあったが、その結果がCCCDであり、ATRACである。利用者の利便性は損なわれ、その莫大な開発費と運営維持費は、すべて価格に転嫁されている。良識において許容範囲であった私的複製権が、モラルの低下によって不可能になっていく。
知的財産権に対する倫理観の低下は、文化を根絶する。知的生産で収入が得られなくなったら、映画もまんがも小説も音楽も、だれもそれに専従することができなくなるのだ。生産される文化は政府や資本のつごうのいい、一方的なプロパガンダばかりになるだろう。
winnyの普及は、本当に恐ろしいほどだ。一部のヘビーユーザーではなく、普段、メールやブラウジングしかしないようなユーザーがガンガン使って「ソフトや映画に金を出す方がアホ」とまで言い切る人が実際に存在する。自分のやっている行為が、どのような社会的影響を与えているか、考えられないのだろうか。
ぼくは一応、本を書いたりして、知的財産権による収入に頼って生活をしている。そういう立場ではもちろんのこと、好きな映画や音楽に対しては、それを作った人に対して敬意をもって対価を支払いたい。全ての人がそう思ってくれれば、この国の文化はもっと豊になるはず、と思う。 

投稿日時: 火 - 5月 11, 2004 at 02:44 午後     | |   Top