土 - 7月 1, 2006

おそろしい話 


学校でおそろしい話を聞いた。
ある学生が「国際」と謳ったある「芸術賞」に応募したところ、主催者(芸術系出版社)から電話があり「おしくも選に漏れたが、外国人の審査員が特にあなたの作品を推して、特別枠として認められた。つきましては、モントリオールの授賞式?に参加してほしい。渡航費XX万円負担いただくことになるが......」といった事を言われたらしい。
調べてみたところ、まずその賞の正式名称でGoogleすると、8件しかヒットしない(アリエナ〜イ^_^;)。主催者名でいろいろ調べてみると、かなりあやしい会社のようで、高齢者の創作作家を主なターゲットに、各種美術会員名簿から勧誘しまくり、「海外の美術展であなたの作品を出展したい」云々という商売をやっているようだ。正直、またか、といった思いである。というのは、同じような話で、絵本コンテストに応募するとやはり電話がかかってきて「惜しくも選に漏れたが、埋もれさせるには惜しい作品。出資していただければ出版することができる」という商売があり、こちらは以前、学生が何人も勧誘されている。タチが悪いことに、こちらの某出版社2社は某有名新聞社や有名美術誌に広告出稿、それらのサイトにもバナー出稿していたり、学校沿線であるJR湖西線の社内広告としてコンテスト公募を行っていたりする。
著名人の本も出していたりするから、一般の人がちゃんとした出版社だと信用して応募するのも無理はない。
これらの商法は完全な詐欺ではなく、実際に入選した人は賞金を手にしたり、本が出版されたりしているのだが、当然、これらはエサであり、本当の目的は「惜しくも選に漏れた人」からなにがしかの金を出させることにある。
どうも世の中には、美術コンテストや出版ということを誤解している人がいてるらしく、絵を売ってもらうことや本を出すことに、自分がお金を出して当然、と思っている人が少なからず居てるらしい。
そりゃ、自費出版や同人誌即売会といった世界では、自分で身銭を切って本を作りイベント参加料を払い、自ら本を持ち込んでそれでも売れない(瀑)というのが普通である。しかし、商業出版の世界というのは、これとは全く異なる世界であり、自分が作った作品、仕事の対価として原稿料をいただいて生活することが基本で、まちがっても身銭を払って本づくり、本の販売を委託する、なんてことはありえない。ぼくは幸いにして、今まで数々のまっとうな出版社さんと縁があって仕事をさせてもらってきたが、著者購入(いただく見本誌以上、自著が欲しい場合は自分で買い取る)以外、1銭だって請求されたことはない。。コーヒーだってヤキニクだっておごってもらうのである(笑)

間違って欲しくないのは、自費出版や個展はちっとも悪いことではない。商業出版、商業美術の世界は売れなければ商品にならない世界だから、需要と供給の関係が成り立つ必要がある。市場がないものを作っても商売にならないのは当然だから、ニーズにあわせて仕事をする必要がある。幸いにしてニーズと供給が一致すればいいが、自分がいいと思って作るものと、市場のニーズは残念ながら必ずしも一致しない。だからこそ商業ルートに載らない、自分の思い入れのある作品は自費出版や画廊を借りて自分で世に送り出すことはとても素敵なことだ。自分で印刷所に入稿したり販売したりする時間や知識がない人が、業者に委託することも全然悪くない。だから前述のコンテスト主催出版社の用意する「商品」を納得して「購入」すること自体は悪いことでもなんでもないと思う。
しかし、なにも知らない無名作家をおだてまくってお金を出させる、という商売のやり方がまともであるわけがない。
実際、先の出版を持ちかけるケースでは印刷製本費用同等以上の金額が「製作費・営業経費」とし、請求される。納得づくならそれも問題がないが、それが「(自費)出版の相場だ」と「思わせるようにしむける」やり方は「●●まがい」と言われても仕方がないのではないか。お金を読者ではなく、作家に出させる、というのは、営業上非常に有利なのである。1000人に対して営業して得られる利益をたった一人の作家に対する営業で得ることができるから。そんな風にして出版された本を、その出版社が「まじめに売ろうと努力」するかどうか、ちょっと考えてみればわかることである。
もし、うちの学生でこれを読んでいる人がいたら、このさいだからはっきり言っておこう。学校ではタテマエ上「コンテストに応募するのはいいが、ひっかからないように」という風に言っているが、まっとうに絵の世界で生きていきたいのであれば、絶対にこういったコンテストには応募してはいけない。ついでにいっちゃえば、世の中のコンテスト、賞の半分以上は(プロに作品を頼むと高いので)単に安価にコンテンツを得たいためだけに主催されている。じゃあ、どうやってそれを見分ければいいのか、といえば、大手出版社から商業出版の経験が複数回ある先生に相談しなさい。あと、新聞や本を「たくさん」読んで、いろんな経験をして、世の中を勉強しなさい。そうしないとこわいオトナたちに食い物にされちゃうよ。

※詐欺ではないので、具体的な出版社名は避けました。どうしても知りたい人はメールで。 

投稿日時 04:58 午前   |

火 - 4月 18, 2006

電気ヤカンはアンドロイドの夢をみるか? 


研究室には小さなキッチンがあって、電熱コンロがついていてお湯をわかせるようになっているのだが、ちょっと出入りするときに、なかなか熱くならず、いつまでも熱い電熱コンロはちょっと不安。というわけで、電気ヤカンこと、ティファールのヴィテスエクスプレス を買った。
はっきり言って、これは究極のヤカンである。美しく頭いい、才色兼備なのである。一度使うと、ヤカンとコンロには戻れない、というのはウソではない。
とにかく、あっという間にお湯がわく。コーヒー一杯分の水だと、数秒で「ゴゴゴゴ〜」とスゴイ音がし出して、1分たらずで沸騰する。どうしてそんなことが可能かというと、通常、コンロにヤカンをかけると、ヤカンもまわりも熱くなる。つまりそれだけエネルギーがムダになっているということ。ヴィテスは本体全体が樹脂性。内部の底に発熱部(完全フラット)が仕込まれている。お湯が沸騰しても手でさわれる。つまり、熱を封じ込める構造なので、エネルギー効率がいいのだ。当然、ハンドルも熱くならない。沸騰したら電源は勝手に切れる。ほっといても安心なのである。常に通電している湯沸かしポッドと、最小限の通電のヴェテス。一人分ならヴェテスが圧倒的にラクチンである。
電源スイッチも合理的。ハンドルにあるので、水を注いでクレードルにセット、電源オフまですべて片手で完了する。
もひとつ、気に入っているのが、注ぎ口が大きいこと。フタをあけなくても、注ぎ口から水を入れることができる。
合理的で美しい機械というのは、ITでもヤカンでも、美しい。ヤカンに感動するとは思ってもいなかったよ。


 

投稿日時 05:28 午前   |

日 - 12月 11, 2005

男鹿和雄展 


金曜日、学校が終わったあと、井上氏と学生二人でエプソンピエゾグラフギャラリーで開催中の男鹿和雄展 に向かう。あのトトロの美術監督というか、背景を描いた人である。オープニングパーティで、男鹿氏も来場、サインと握手していただきました♪写真上は男鹿さんの画集 (技法解説もたくさん載っている)。下はサインの横に押してくださった落款。男鹿ですね〜♪


個展の方はピエゾグラフ(EPSONプリンタによる出力)なのだけど、どれも原画よりも大きいということで、非常に迫力があった。光の描写が圧巻。プリンタ出力っていっても、どうみても原画にしか見えん....

 

投稿日時 11:55 午後   |

火 - 10月 4, 2005

マニアエキスポ70 


万博公園の鉄鋼館にて開催中の「懐かしの大阪万博/マニアエキスポ70 」を見てきた。平日なのでガラガラ。写真手前は三菱未来館の模型。模型は他に日立館と日本館のカットモデルと、会場全体の配置モデルが。コンパニオンの制服とか、岡本太郎のイスとか万博オープニングのカギとかがゴロゴロ。マニアのお宝ということで、鉄道関係の資料とかも多く、なかなか充実してた。週末には記録映画上映会がみんぱくであるらしい。また、9日14時からは万博ミュージアム館長 氏のトークショーも。あ、水曜日は公園そのものがお休みです。

 

投稿日時 02:11 午後   |

水 - 8月 10, 2005

井上直久展・渋谷 


イバラード在住の井上直久師の個展 が渋谷Bunkamuraにて明日10日〜21日まで開催。井上師は10141921に来場だそうです。東京方面の方、どうぞー。あと、13日には松尾清憲さん(ロ〜ジ〜♪)のミニコンサートが(うらまやしい)。

 

投稿日時 01:11 午前   |